■指きり promise■
最近、休日といえば葉とつるんで歩いてばかりだ。
今日は遊園地に来たいということだったので、早朝から出かけてきたのだが――。
「超能力者お断りかぁ……」
「すっかり失念してたぜ」
二人は肩を落として入り口付近で慰め合う。
「リミッター沢山つけてきてたらごまかせてたんじゃないの?」
「駄目だろ。あー、こんな時高超度エスパーな自分を恨むー」
「どうせ俺は葉兄ィと違ってそれぞれの能力値はそんなに高くありませんよーだ」
むくれかけたカガリに、葉がぽんぽんと帽子を叩く。
「いいじゃん、珍しい能力なんだから」
「だってさ、こないだの任務なんて大麻燃やしただけだぜ?」
「大活躍だったじゃん?」
葉はにこにこと笑っている。どこまで本気なのかわからない時もあるが、今は本当に心の底からそう思っていそうだ。
そんな顔で笑われると、カガリの小さな劣等感なんてすぐに消え去ってしまっていた。
「それじゃ気を取り直して、どうする、葉兄ィ。どこ行こう?」
「んあー、そうだなー……」
葉が辺りを見回すと、カガリも周囲を見渡して、二人の視線が同じ場所で止まった。
二人の視線の先、派手な店がまえに、看板には「ゲームセンターミカド」の文字。
「やる?」
「やりますか!」
二人は揃って歩き出す。
「今度、リミッター沢山つけてきて、また挑戦してみようぜ」
「無駄だと思うけど、ま、約束な」
葉が小指を立てて右手をカガリに差し出すと、カガリも自らの右手の小指を絡ませる。
「うん、約束」
そしてまた小さな約束を一つ増やして、カガリは葉とともに歩くのだ。
いつまで続くか分からない道を、一足ずつ踏みしめて。
<終>
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お題: yokoyama_kariさんは、「早朝の遊園地」で登場人物が「約束する」、「ゲーム」という単語を使ったお話を考えて下さい。
ラブラブなだけではワンパターンではないかと思い立ち、ちょっと悲恋フラグを噛ませようとして見事に失敗。もうずっとラブラブでいればいいよ君たちは。
なお、ゲームセンターミカドは実在のゲームセンターです。USTで妖怪道中記天界クリア実況とかやってるすごいゲーセンです。