忍者ブログ

hyoubutter short story

hyoubutterのショートショートストーリー集
MENU

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

共通点 share

カガ×葉で真木兵とかもろもろをひっくるめてみました。



■共通点 share■
 

 目が覚めたら早朝だった。でも、自分の部屋じゃない。
 ここはどうやら葉のベッドで、いつの間にか眠ってしまったらしい。いくら考えてもいつ寝てしまったのかが思い出せない。先にシャワーを浴びて、そしたら葉が寝ていて、少し横になろうと隣に潜り込んで――ふと思いついて隣で寝ている葉の布団を剥ぐ。
「やっぱり……」
 カガリの頬が赤くなる。葉の身体には昨夜の痕跡がありありと残っており、日の光の下で見るには生々し過ぎた。
「葉兄ィ、起きて」
「ん……」
 ひどく不機嫌そうに眉根を寄せたままで薄目を開けた葉だったが、またすぐに寝返りを打って眠りに入ろうとする。
「ちょっと、起きてって言ってるじゃん」
 いくら揺すっても振り返る気配もない。
「そのままじゃ駄目だって、シャワー浴びなきゃ――起きろってば!」
 思わず怒鳴ってしまうと、ようやく葉が振り返って口を開いた。
「おはよ、カガリ」
 無邪気そうに向けられた笑顔に、不覚にも一瞬見とれてしまったカガリだった。
 

 シャワーを浴びたら喉が渇いたというので、二人でキッチンへと向かう。夜通しゲームをしていたと言えば誰にも気付かれないだろうと、心の中で何度もシミュレートしていると、タイミング良く兵部と真木とが廊下に立っていた。
「おはよう、二人とも早起きだね」
「カガリはともかく葉にしては珍しいな、お早う」
 屈託のないさわやかな笑顔で二人にそう声をかけられると、ついカガリの声が小さくなる。
「おはよう…ございます」
 何故二人でいると聞かれたらどうしようと思うと気が気でない。
「おはよ、少佐、真木さん。そっちこそ早起きじゃん?」
「いや、今日はたまたまだな……」
「君たちと似たような理由かもしれないよ」
「「ええっ!?」」
 兵部の爆弾発言に真木とカガリが同じリアクションをする。そして同じタイミングで頬を紅潮させて隣の相手に食ってかかる。
「なな、何の話ですか、少佐」
「いや俺らは、ゆうべたまたま夜通し、そう、ゲームをしていたからで……ね、葉兄ィ」
「隠すこともないだろ、真木」
「そうそう、別に隠さなくても。カガリも大分俺の笛の吹き方上手になったことだし――」
 自分の下半身を指さそうとした葉がスパーン!と軽快な音を立てて壁際まで飛ばされる。カガリが平手で肩をはたいたのだ。手はわなわなと震えており、耳まで真っ赤になっている。
「ア・ン・タ・は~~!」
「別に隠すことでもねーじゃん」
「隠せよ!」
 もう一度、今度はカガリがグーを葉のみぞおちに叩きこもうとしてそちらは阻止される。
「カガリ、よくわからんが先輩いじめはあまりしてやるな」
「相手が葉だもの、自分の体力削るだけ無駄かもよ?」
 いつもどおり生真面目に忠告する真木と、どうやらわかっているらしくクスクス笑いながら意見してくる兵部と。
 その時確かに、四人で秘密を共有した気がした。
 

 空のグラスが二つ並ぶのを見るともなしに眺めながら、葉の部屋に戻ったカガリはぼんやりとグラスについた水滴を見ている。
 さっきの葉の下品な発言についてさんざん意見した後に、葉がぽつりと言った。
「でもあの二人もそういう関係だから、気にすることはホントにないんだけどな」
 カガリはやはり、という想いとまさか、という想いの両方に翻弄される。あの二人の関係。
「そうなの?あの二人、そうなの!?」
「まあ……真木さんはともかく、少佐がどこまでなのかは疑わしいけどな」
「え?それって、どういう……」
 怪訝そうな光を宿すカガリの瞳を見て、葉は自分の発言が過ぎたことに気付いたらしい。
「お前は知らなくてもいーんだよ」
 葉は考える――なにもかもを共有する必要はないはずだ、と。
 一方カガリは葉が言おうとしたことも隠そうとしたことも正確に読み取っていた。あの二人の関係だけでなく、涼しげな表情を崩さなかったあの人と目の前の人間との過去も。はじめて自分と行為に及んだ時の、同性同士の性交渉に妙に慣れた態度の理由も。
(妬いたりしない)
 経験とは積み重ねだ。そうして歩んできた葉だからこそ、その道の上で自分の道と交差した。情を分かち合った。ここで嫉妬で葉の過去を否定することは今の二人をも否定する行為だ。だから。
(妬いたりするもんか)
 何度も何度も心の中で呟くが、一度固まってしまった硬い表情は、自分の意志では崩れてくれそうになかった。
 

                                                  <終>
 

-----
お題:「朝の廊下」で登場人物が「共有する」、「あの人の過去」という単語を使ったお話を考えて下さい。


珍しく別カップリングが交差する話です。普段はカップリング毎に別の話として書いてるのですが、真木兵・葉兵・カガ葉(もしかしたら葉真木も)が混在してる設定です(3Pとは別次元ですが)。そしたらはからずも、嫉妬カガリができあがってしまいました。なんてこったい。葉とカガリの緊張(というかカガリの心のしこり)をほぐす話も早めに書きたいと思います。ジェネレーターの神様お願い!
 

いつも拍手・コメントありがとうございます~。励みになっております。

拍手

PR

Comment

お返事

  • 横山(仮名)@管理人
  • 2010-08-19 20:12
  • edit
>ぱてぃ様
 カガリと葉の心理描写は若い分楽しみながら書いてると同時にひどく難しい時もあったりもするのですが、が、がんばります・・・とりあえずカガリのわだかまりは早めに解いてあげる方向で考えてまっす。乞うご期待!(ぜいはぁ)

>サユリ様
 カガ葉が好きと言ってもらえて嬉しいです!書いてる方もすっかり成熟した真木兵部とは別に楽しんでやってますので、これからも書くと思われます。ので、これからもおつきあいいただければ幸いであります。
お名前
タイトル
E-MAIL
URL
コメント
パスワード

× CLOSE

カレンダー

10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

カウンター

プロフィール

HN:
横山(仮名)
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
hyoubutter管理人

バーコード

最新CM

[03/29 横山(仮名)@管理人]
[03/29 横山(仮名)@管理人]
[03/29 横山(仮名)@管理人]
[03/14 横山(仮名)@管理人]
[03/14 横山(仮名)@管理人]

ブログ内検索

フリーエリア

フリーエリア

× CLOSE

Copyright © hyoubutter short story : All rights reserved

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]