■落雷 Lightning■
パンドラがまだ本拠地をカタストロフィ号に移す前。
一同は日本中に散らばった複数のアジトに分散して、時には集合して生活していた。
そんな状況の中で――
「紅葉、待たせた」
「俺ら風呂終わったっス」
「待ったわよー」
一つしかない浴場を効率よく使うために、日替わりで男女が前後を入れ替えながら入浴する。今日は男性陣が先で、女性陣が後だったのだ。
特に紅葉は珍しく男性陣の出てくるのを待っていた。改めて紅葉を見直した真木がある事に気付いて指摘する。
「紅葉、髪濡れてないか?」
「当たり。さっきまで外で作業してたの。全く、長風呂なんだから」
「それは済まなかった」
髪の先を一房くるくると指に巻き付けながら浴場の前で待っていた理由を告げた紅葉に、葉が何かを言おうとした瞬間――
ガラガラ、ピシャーン!
「きゃあっ!」
唐突に雷の音が近づいたかと思うと、次の瞬間には閃光となって一同の並ぶ深夜の廊下から窓一枚隔ててすぐ近くに雷が落ちたのである。
「この建物、避雷針あったっスよね、真木さん」
「ああ。だから心配することはない、紅葉」
「っていうかさー、きゃあ!って何さ、紅葉ねーさん。きゃあ、だぜ。柄にもない」
葉の最後の一言で真木も思わず吹き出した。たしかに、雷ごときで吃驚するなど、紅葉らしくない。
「いっ、今のは不意打ちだったからよ!別に雷が怖いとかじゃないわよっ!?」
「はいはい、そういうことにしておきましょ」
クスクスと笑い含みの言葉を返した葉の頭を紅葉が抱え込んでヘッドロックする。
「わあ、ギブ、ギブ!助けて真木さんー」
「自業自得だ」
平静を装って言う真木もまた、葉と目と目を合わせながら一緒に笑い合っている状態で、紅葉はますますおもしろくなくて、顔を赤くしながら葉の頭にぐりぐりとげんこつを押し当てた。
そしてその一刻後に、また近場に雷が落ちて、次は真木が技をかけられることになるのだが、今の三人はそれをまだ知らない。
<終>
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お題:「深夜の廊下」で登場人物が「笑い合う」、「雷」という単語を使ったお話を考えて下さい。
紅葉ねーさんは男らしいのでうっかり可愛いこと口走ってつっこまれてたりすると逆にかわいいかなぁとか思ってこういう感じになりましたが。その……「だから何?」感漂う作品になってしまいました・・・
やっぱこのジェネレーターで小作品って、無理があるかなぁ・・・でもあまり本編に言及したこととかはちゃんとした機会に書きたいので、こういう当たり障りのないものになってしまう、という・・・うーん。
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